留学生インタビュー

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No01 日本で働く留学生
蔡 佑文 日産自動車株式会社
No01 留学生を求める日本企業
和泉 信義 大成建設株式会社

最先端の自動車工学を学ぶため日本へ

父親の影響もあり、子どものころから車が好きで、将来は車の開発に携わる仕事がしたいと考え、マレーシア工科大学に進みました。しかし、1995年当時は大学内に自動車工学を学べる学部や学科がなく、代わりに機械工学を学びました。最先端の自動車工学を学ぶためには日本やアメリカ、ドイツに留学する必要があったのです。どの国の車にも憧れはありましたが、同じアジアである日本の大学院への留学を決意しました。

どうすれば日本へ留学できるのかいろいろ方法を試していたとき、偶然、日本の外務省が支援するアスジャ・インターナショナル(ASJA International)の広告を見かけ、応募したところ、幸いにも募集選考を通過し、第一期生として日本に来たのです。

2000年に来日してから1年間は日本語学校に通う日々でしたが、今思えば日本の社会に慣れる良い訓練になりました。大学に入ると接する人たちの幅は狭くなりますが、日本語学校なら社会の様々な立場の人と接することができます。日本の企業で働く上でも、社会を知るというのはとても大切なことです。

自分のやりたいことを明確に

日本には自動車関連の工学を学べる大学はたくさんありましたが、安部正人教授の自動車の運動と制御の研究に興味があり、教授が在籍している神奈川工科大学大学院機械システム工学専攻を選びました。別の大学を薦める人もいましたが、私は留学前からマイルストーンを「大学では自分が学びたいことを学ぶ」「卒業後は自動車メーカーに就職する」「学んだことを基に成果を出す」と決めていたので、迷うことはありませんでした。

実際、大学院での勉強はとても充実しており、安部教授は自動車工学を学んだことのない私に基礎から丁寧に教えてくれました。修士課程ではステアリング・アクティブ制御(電子機器などを用いた制御技術)を専攻し、修了するころには最初のマイルストーンは達成できたと感じ、学んだことを生かせる場で働きたいと考えていました。

そんなとき、タイで開かれた自動車技術学会の学生派遣プログラムで行った私のプレゼンテーションに興味を持った日産の方から、採用面接を受けてみないかとお話をいただいたのです。「卒業後は自動車メーカーに就職する」という次の目標を達成できるチャンスだと考え、面接を受けて採用されました。

日本で働くというのは大きな決断でしたが、やりたいことを明確にしていた私にとって、目標とする研究や仕事を行う上で日本は素晴らしい環境であり、日本で就職する以上に良い選択肢はないと考えたのです。

日本で働いている外国人だからこそできること

今でこそ日産は役員から開発者に至るまで、日本人、外国人という区別もなく働いており、私が所属しているシャシー技術開発部にも外国人の正社員も多く在籍しています。しかし、入社した2004年ごろは、日産テクニカルセンターの中に外国人は1%もおらず、周りから珍しく思われていたかもしれません。とはいえ、仕事がやりにくいということはありませんでした。例えば上司の発言のニュアンスがうまくつかめず、先輩や同僚に確認することもありましたが、快く教えてくれました。周囲の人たちが、私を受け入れようと気を遣ってくれていたのだと思います。

それから10年間、大学で学んだ自動車の運動及びアクティブ制御をステアリングシステムに用いる研究開発を続け、2014年にはその成果である次世代ステアリングシステムを世界で初めて量産車であるスカイラインに搭載することができました。

かつては日本語のニュアンスに苦労していた私も、最近になってようやく「日本人として考える」ことが少しできるようになりました。新型スカイラインのグローバル展開により日本と海外の間に立つ機会も多くなりましたが、日本人と外国人それぞれの立場で考えることができる私は、両者の架け橋となることができます。日本で働いている外国人という立場だからこそできることが見え、これからも日本で働きたいと考えています。

迷ったなら、挑戦してみる

留学している人も、就職しようと考えている人も、それぞれ状況は違うと思いますが、日本には自分の努力次第で道を切り開くことができるチャンスがあります。重要なのはマイルストーンを決めるなど、留学前から自分が進む道を考えておくことです。日本に留学した経験のある人や、日本で生活している人の経験談をあらかじめ聞いておくのも有効でしょう。それによって留学はもちろん、その後も日本で働くかどうか、といった重要な場面で判断の助けとなるはずです。

もし迷っているなら、挑戦すべきです。キャリアの面でももちろん、仕事の進め方や考え方など、日本で働くことで得られるものにデメリットはないと思います。なにより、全世界に通用する「Made in Japan」ブランドを支える人たちと考え方やビジョンを共有し、同じチームで働き、成果を上げ、喜びを感じることができるのは、とても魅力的なことです。